2011-05-11(Wed)
『ブラック・スワン』

何となくイメージしていたのは、『ルームメイト』のようなサイコスリラーだったが、その類でもなかった。恐らく宣伝文句的には確かに“心理スリラー”といった感じにはなるとは思うが、果たしてそれで合っているだろうか。緊張感だけは妙に持続したまま、それでいてなかなか映画としてのエンジンがかからないので、この話が一体どこに向かうのかかなり後になるまでわからなかった。完全に『キャリー』的な母子関係にハラハラもさせられるが、と同時にダンサー同士の確執やら同性愛やらオトコやらオンナやら久々のウィノナ・ライダーやら(笑)、もうとにかくあらゆることに翻弄されるナタリー・ポートマンが痛々しすぎて見てられないという感じ。結果的に観客はそんな今にもポキン!と折れてしまいそうな彼女の姿に常にヒヤヒヤするという状態。それが延々と続く。これといったストーリーの展開に至ることなく、彼女の変化を見守るだけ。言い方は悪いが、観客は彼女のビクビクした臆病な姿に振り回される。彼女の目に映るのは現実か幻覚か。これが意外とジワジワくる。
しかし、クライマックスに至った時、この映画は彼女の心象をじっくりゆっくりと時間をかけて描くことで観客を追体験させていたことに気付く。長い時間ジワジワドキドキさせつつ、いきなりサスペンス全開ってな展開に観る方はアタフタ(笑)。が、その先は決してスリラーでもホラーでもない。不思議なことに・・・というか皮肉なことに、彼女が向かう先が見えた時点で観客は解放される。それまでの彼女を見守り追体験してきたその緊張感が別の感情となって押し寄せる。恐らく賛否が分かれるとしたらこのあたりだろう。サスペンスやスリラーでは、いつの時点で先が読めるか、でその映画に対する印象はガラッと変わってくる。
この映画を観て、まったく違う話だが、昔・・・確かNHK教育で放送されたように記憶しているが・・・『赤い靴』というイギリス映画を思い出した。詳細な話は忘れてしまったが、かなり昔の映画でありながら、色彩、まさに“赤い靴”の赤色が悲痛な話とともに鮮烈に印象に残っていた気がする。久々に観たくなった。バレエの世界など全く知らないワタシにも、その独特で恐ろしく厳しい世界を十分感じることが出来た映画だった。
『ブラック・スワン』。この主人公の着地点をどう観るか。年齢、性別、職業等々によって違ってくるだろう。個人的は少々意外な気もしたが、それよりもなによりも、あの『レオン』の少女が、あの『スター・ウォーズ』のアミダラ姫が、こんなオトナの女性に・・・とそこが鑑賞・・感傷ポイントだったりしてナントモナントモだった。是非とも次回は全編笑顔の彼女を観たいと・・・痛感した。
サスペンススリラー作品として抜群の面白さか・・・。いやいや、これはサスペンススリラー的な、あるひとりのバレリーナのお話。この“的な”というトコロに尽きる。
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